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火事被害のひとつ、「臭い」による影響と臭い取りの方法を解説

火事は人や建物にさまざまな被害をもたらしますが、そのなかで最も長い期間にわたって影響を残すのが、「臭い」です。燃えたものや規模にもよりますが、場合によっては火事後から数年たっても臭いが消えないケースも少なくありません。また、臭いは風に乗って周囲に被害を拡大してしまうリスクもあるため、迅速な対応が必要です。そこで今回は火事被害の影響のなかでも、「臭い」について、発生する原因や臭いによる影響、そして臭いを取り除く方法をお伝えします。

火事の際に発生する臭いとは?

火事が起きるとすすによる火災臭が発生します。その臭いの主な成分は、フルフリルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、トルエン、ペンタン、プロパン、ベンゼン、1-ペンテン、塩化水素、ヘキサン、イソペンタンなどです。

これらの成分から発生する火災臭は、ほんの少しでもほとんどの人が悪臭と感じるため、放置しているとさまざまな健康被害をもたらします。

また、どの成分もなかなか自然分解が進まず、天井や壁などにしみ込むと、空間に漂う火災臭よりも強い臭いを発し、換気対策程度では消えません。場合によっては2~3年も消えずに残っている場合もあります。

火災臭がもたらす影響とは?

火災臭は人に対しさまざまな健康被害をもたらします。また、臭いは風に乗って周辺の住居や住民にまで届く場合もあり、想像以上に被害が拡大するケースも少なくありません。では、火災臭は人の健康や周囲に対しどの程度まで影響があるのでしょうか。

火災臭がもたらす健康被害

火災臭は少量を吸い込んだだけでも、咳や目まい、頭痛、吐き気などをもたらします。また、燃えたものによっては大量のダイオキシンやホルムアルデヒドが発生し、それらが含まれた臭いを吸い込むことで、アレルギーや喘息、呼吸困難、アレルギー性皮膚反応、さらには遺伝性疾患や神経系・呼吸器の障害、がんなどを引き起こす恐れもあり、将来にわたって危険をもたらす可能性もあるでしょう。

火災臭が周囲に与える影響

一般的な住居が全焼すると火災臭が届く範囲は半径約30m程度といわれています。。これが工場やマンションとなると、一般の住宅よりも建物自体が大きいため、さらに遠くまで火災臭が届くと予測できます。

また、火災臭が届く範囲は湿度や風速によっても異なります。例えば、湿度が高い場合は粒子が水分を含み重くなるためそれほど遠くへは届きません。しかし、火事の被害が大きくなるときは空気が乾燥しているケースが多いので、30mよりもさらに広い範囲に届く場合もあるでしょう。

なお、風が弱ければ届く範囲は狭くなります。強い風が吹けば臭いは拡散され薄まるものの、さらに遠くまで届きます。いずれにしても、近隣住民に健康被害が起こる可能性は低くはありません。

火災臭を迅速に取り除くための方法

程度によっても異なりますが、火災臭を取り除く方法としては次の3点が考えられます。

  1. 換気を行う
    換気をすることで外気が建物の中から外へ排出され、家具や壁に付着した火災臭が外に放出されます。ただし、効果があるのは軽いぼや程度の場合のみ。1週間以上換気を続けたうえで、家具や壁の拭き掃除を行えばある程度は取り除けますが、それでも完全に取り除けません。
  2. 市販・業務用の火事後消臭キットを使う
    火事後消臭キットを使うのも火災臭を取り除くのに効果的な方法です。インターネット通販やホームセンターで購入できます。換気や拭き掃除よりも迅速に火災臭を取り除けます。
    さらに、より強い火災臭の場合は業務用の火事後消臭キットがおすすめです。業務用のため量が多く、市販のものよりも高額になりますが、強い消臭効果が期待できます。ただし、市販・業務用ともに効果があるのは大きめのぼや程度であり、それ以上の焼損になると、火災臭を完全に取り除くのは難しいでしょう。
  3. 復旧専門会社に依頼するぼや以上の火災臭は素人ではどうしようもありません。焼損が大きい際に火災臭を取り除くには、外部に依頼するのがおすすめです。外部に依頼する場合は、消臭会社か火災や災害時の復旧を専門に行っている会社のどちらかになります。より迅速かつ確実に火災臭を取り除きたいのであれば、すすを徹底的に除去してくれる復旧専門会社がよいでしょう。復旧専門会社が行う脱臭方法には、具体的には次のようなものがあります。
  • 芳香剤噴霧
    芳香オイルを使って火災臭を包み込みます。即効性もあり手軽な方法ですが、一時的なものであり火災臭を完全に取り除くことはできません。
  • リストアリング数多くの種類の芳香物質からなる天然エッセンスを、ファンを使用して散布する方法です。人や動物が室内にいても使用可能で素材を損なわないのがメリットですが、強い火災臭には対応できません。
  • シールディング
    気密性のあるコーティングによって家具や壁などの素材の表面を密封し、不快な臭いを迅速かつ持続的に封じ込める方法です。急速かつ持続的な消臭作用がありますが、素材に機能上の影響を及ぼす恐れがあるため、工場や精密機械がある場所での使用は難しいでしょう。
  • フィルター除去と吸着
    HEPAフィルターと活性炭フィルターをともに用い、大量の空気透過の実施により臭いを除去する方法です。臭いの発生源となっている微小なちりや気体を活性炭に吸着させ、臭いを除去します。
  • フォッギング
    特殊な芳香剤、もしくは活性物質を空気中に散布する方法です。人が作業をするのが難しい場所の処理も可能ですが、人や動物が室内にいるときは使用できません。
  • オゾン分解
    オゾン発生装置で空気中の酸素からオゾンを作り出し、臭いを取り除く方法です。人が室内にいるときは使用できませんが、強い火災臭を取り除くには高い効果を発揮します。
  • イオン化
    プラズマイオン発生装置を使い、空気をイオン化して火災臭を取り除く方法です。オゾン処理より長い時間を要しますが、人が室内にいても使用可能であるうえ、素材の機能を損ないません。オゾン処理同様、火災臭を取り除くのに高い効果がある方法です。

火災臭を取り除くには自分たちでやろうとせず復旧専門会社に依頼するのがおすすめ

火事のあとに残る火災臭は、建物はもちろん、そこで働く、あるいはそこに住む人に加え、近隣住民にまで大きな被害をもたらす危険をはらんでいます。また、臭い取りをしようにも、臭いの原因となるすすは天井裏のような隠れた場所にも入り込んでおり、通常の洗浄では落としきれない可能性があります。被害の長期化を避けるためにも確実な汚染除去が必要です。

火災においては、少しでも早く臭いを取ることが重要です。復旧専門会社では、汚染箇所を化学的に調査し、一見すすが付着していないような箇所までも検証します。そして、臭いのもととなるすすを徹底的に除去します。火事が起きた際はできるだけ早い段階で復旧専門会社へご連絡ください。

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