火災
- 企業や工場が火災になったら?被害を最小限に抑える対策を解説
- 企業や工場で行っておくべき火災対策のポイントを解説
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近年、工場や作業場などの製造現場での火災が増加傾向にあります。火災発生の原因はさまざまですが、事前対策を怠っていたために大きな被害につながってしまうケースは少なくありません。企業はもちろん、工場や倉庫で火災が発生したら、その被害は甚大なものとなりかねません。被害を最小限に抑えるために重要となるのは、火災に備えた対策の徹底です。今回は企業や工場で行っておくべき火災対策のポイントをお伝えします。
火災対策を行う上で考えておくべきこととは?
企業や工場で火災対策を行う際、まず考えておかなければならないポイントがあります。具体的には次のとおりです。
- 火災が発生する可能性のある場所の確認
危険物を保管している、火を扱っているなど、火災が発生する可能性がある場所の特定を行います。特に危険物を扱っている工場は、薬品や製品の保管場所、製造場所に着火や延焼のおそれがあるものがないかの詳細な確認は必須です。
企業のオフィスの場合は、基本的に危険物を置いている可能性が少ないため、確認は必要ないと思われるかもしれません。しかし、食堂設備のある企業では火やガスを扱うため、着火や延焼の可能性があるものの有無は必ず確認が必要です。ほかにも喫煙所、給湯室、石油ストーブや石油ファンヒーターのある部屋なども確認します。 - 防災機器の確認
消火器やスプリンクラーが適切に設置されているかどうかを確認します。また万一の際、防災機器が動作せずに火災を拡大させてしまうことのないよう、定期的な動作チェックや点検は必須です。
なお、防災機器の点検は基本的に防火管理者が行います。そのため、自社が入居しているビルに防火管理者がいることを確認します。自社ビルの場合は、消防法による規定で人数や面積によって自社内で防火管理者を選任しなければなりません。防火管理体制を確認し、選任が必要であれば早急に責任者を決定します。 - 被害想定額の算出
企業のオフィス、工場、倉庫などが別々に火災に遭った際、どの程度の被害が出るかを想定し、被害想定額の概算値を算出します。被害の程度によって被害額は大きく変わる可能性もありますが、概算値だけでも算出しておけば、対策費として予算を組むことができます。早期復旧も可能になるでしょう。
火災対策の具体的な進め方
火災対策の事前準備が済んだら次のような手順で火災対策を進めていきます。
- 防災対策本部の設置
前項で述べたように、一定の収容人数や延べ面積を持つ建物には、法律で防火管理者を選任することが定められています。しかし、規定の要件にあたらない場合でも、社内で防災対策本部を設置し、いざというときに備えて対策を立てるチームをつくっておくとよいでしょう。 - 防災計画・マニュアルの作成
防災対策本部としてまず行うのは、「火災が発生した際の役割分担」「避難経路の確保」「初期消火活動のやり方」「防災機器の定期点検や避難訓練のスケジュール」など、防災計画・マニュアルの作成です。火器の取り扱いや、火災原因になるような薬品、設備、機器などの取り扱いルールも併せて作成しておけば、工場での火災発生リスク軽減につながります。 - BCP対策
万が一火災にあっても事業継続、早期復旧を実現するため、BCP対策を適切に行います。企業のオフィスや工場が火災に遭った場合、資産の焼失をできるだけ防ぐことはもちろん重要です。しかし、同時にどれだけ早く復旧できるかも考えておかなければいけません。
資産の焼失が少なかったとしても、復旧までの間に納品が滞ってしまえば、取引先が競合企業に発注を切り替えてしまうこともあるでしょう。これを防ぐためには、事前に代替生産を要請できる協力会社の選定、被災状況の早期確認体制などを、BCP対策として作成しておく必要があります。
→ BCP対策の詳細については、こちらの記事もご参照ください。(「BCP対策とは?企業防災との関係から策定方法、早期復旧のフローまで」避難訓練の実施)
防災計画やマニュアルが作成済みであっても、いざ火災が発生した際、事前に想定していたように動けるとは限りません。特に企業のオフィスや工場など多くの社員がいる場所では、全員が指示に従い適切な行動をとるのは難しいでしょう。
そこで、定期的に避難訓練を実施し、全社員で火災時の行動について周知を徹底します。また、この際に初期消火活動の訓練も同時に行い、近隣への延焼を少しでもなくす意識や行動をとれるようにしておきましょう。
→ 火災が発生してしまった際の対策については、こちらの記事をご参照ください。「企業や工場が火災になったら? 被害を最小限に抑える対策を解説」
火災対策を行う上での注意点
火災対策は避難訓練のときだけではなく、常に意識しておかなくてはなりません。火災対策を徹底するための主な注意点について説明します。
- 防災マニュアル・ルールの勉強会を行う
避難訓練とは別に、防災マニュアル・ルールの勉強会を実施します。「工場や倉庫内にライターやたばこを持ち込まない」「給湯室や食堂で火を扱う際は必ずその場から離れない」「避難経路に荷物を置かない」など、ヒューマンエラーによる火災を防ぐための細かいルールを徹底します。
避難訓練は、火災が起きてしまった後にどう行動するべきかの訓練です。一方、そもそも火災を起こさないようにするためには、何に気をつけるべきかについての訓練もしておく必要があります。一つひとつのルールはどれもあたりまえのように思われるかもしれませんが、仕事で忙しくなるとつい忘れて、危険を冒してしまう可能性もあります。万一の事態を防ぐためにもしっかりと勉強会を行い、火災に対する意識を持てるようにしておきましょう。 - 避難訓練は当事者意識を持って行う
避難訓練はどうしても訓練という意識が抜けず、中途半端なものになりがちです。しかし、訓練の段階から当事者意識を持たないと、いざ火災が発生しても何もできなくなってしまうでしょう。
例えば、避難訓練は常に決まった時間に行っていては意味がありません。出勤途中や終業間近など常に時間を変え、そのときにどういった行動をとるべきかを考えるのが訓練です。ほかにも、「通常の訓練では稼働させない防災機器やシステムを稼働させてみる」「周囲の企業と合同で訓練をしてみる」など、常に想定外の事態に対応でき、社員が訓練に飽きてしまわない工夫が欠かせません。
しかし、実際に火災の経験がない場合は、なかなか当事者意識を持って訓練に臨むことは難しいでしょう。そこで避難訓練は自分たちだけで行うのではなく、専門家や消防署の力を借り本格的に行うことをおすすめします。
企業や工場の火災対策は事前準備の徹底が重要
火災は台風のように事前予測ができるものではありませんが、必ずなんらかの原因が存在します。これを見落としてしまうことで大きな被害につながってしまうのです。スプリンクラーや消火器など防災機器の定期点検も重要ですが、OA機器のコンセント周りや工場で扱う薬品の取り扱いなどにも注意を払う必要があります。常日ごろから、火災が起きる原因を自らがつくっていないかの確認は怠らないようにしましょう。
また、火災対策は、火災を防ぐ対策であると同時に、万一火災が発生した際に早期復旧するための対策でもあります。企業ではクラウドサービスの活用、工場では代替施設の用意など、1日でも早く事業再開を実現できるような対策もしておきましょう。事業の早期復旧に関しては、災害復旧専門会社に依頼するのがおすすめです。復旧対策のひとつとして、災害復旧専門会社への依頼も加えておけば、より迅速な復旧が実現するでしょう。
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