火災
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オフィスや工場、倉庫などが火災に遭うと、企業として多くの被害が考えられます。焼失によるものや、消火活動のなかで水浸しになってしまうものなどはわかりやすい被害ですが、じつは火災後の被害はそれだけではありません。そのなかでも大きな被害として考えられるのが機械類のさびです。なぜ、火災により機械類にさびがついてしまうのでしょう。その大きな原因として挙げられるのが、塩化物イオン汚染です。今回はこの火災後に起きる機械類のさびについて、詳しい原因と予防法をお伝えします。
火災後に機械類が錆びついてしまう原因とは?
火災後の被害で機械類のさびに気づきにくいのは、火や水の被害から逃れたはずの機械類にさびがついてしまうからです。火災被害の検証を行う際、どうしても焼失や水浸しになった箇所に目がいくため、それ以外の場所は後回しになり、発見が遅れてしまいます。では、なぜそれらの被害から逃れていてもさびがついてしまうのでしょう。その原因としては、塩化ビニル(塩ビ・PVC)が燃焼することで発生する塩化物イオン汚染が考えられます。
火災によって発生する汚染といえばダイオキシンを思い浮かべるかもしれませんが、塩化物イオン汚染もよく見られる汚染です。工場や倉庫にある塩ビシートや水道管、床材や窓枠に使われる建築資材に含まれる塩ビが焼失により、発生する塩化物イオンが機械類に付着。これが金属部分を腐食させ、錆びつかせてしまうのです。
ほかにも、火災によって発生する煤に含まれる腐食性物質に、消火活動によって生まれる湿度が加わることで還元作用によって塩酸となります。これに空気中の酸素が触れると、機械類が錆びついてしまいます。
焼失や水浸しなど火災の直接的な被害ではないうえ、汚染は目視では確認できないため、どうしてもすぐに気づくことができません。しかし、これも火災後の被害のひとつで、結果的に企業に大きな損失を与えてしまうため、事前対策により被害を少しでも減らせるようにする必要があります。
塩化物イオン汚染によってさびが生まれやすい金属は?
そもそもさびは酸化によって起こりますが、酸化が起こる原因は金属のイオン化です。そのため、リチウムやカリウム、カルシウム、ナトリウムなどイオン化しやすい性質の金属は錆びつきやすい傾向にあります。これに対し、金やプラチナ、銀、水銀などはイオン化しにくい金属のため、比較的さびはつきにくいといえるでしょう。
工場や倉庫にある機械類の多くは、鉄やアルミニウム、銅などが挙げられます。これらのなかではアルミニウムが若干、イオン化傾向が大きいものの、鉄はそれほどイオン化傾向も大きくなく、銅にいたってはイオン化傾向が小さい金属です。ただし、イオン化傾向が小さいとしても、海水には弱く、塩化物イオンの濃度が高くなれば、さびは逃れられません。そうした意味では、どの金属であっても、塩化物イオン汚染が起これば、さびがついてしまうリスクは考慮すべきでしょう。
火災前後で機械類の錆びつきを予防する方法は?
火災後に起こる被害として考えられる機械類の錆びつきは、気づかないうちに大きな被害となってしまうリスクがありますが、逆になぜ、そうした現象が起こるのかを把握していれば、ある程度の被害を抑えることも可能です。ここでは、火災前と後で機械類の錆びつきを予防するためにできることについて説明します。
全般的な火災対策について詳しくは、『企業や工場で行っておくべき火災対策のポイントを解説』をご覧ください。
火災が起こる前に錆びつきを抑えるためにやっておくべき予防策
- 防錆効果のある塗料やスプレーを塗布する
機械類のなかでもさびがつきやすいと思われる箇所に防錆(ぼうせい)効果のある塗料やスプレーを塗布する方法です。事前対策としては、比較的容易な方法ではありますが、永続的ではないため、定期的に塗布しなければなりません。また、塗布した部分に触れてしまうと取れてしまう場合もあり、場所によっては使えないこともあるので注意が必要です。 - コーティングによって予防する
機械類に使われる材質を耐食性のあるものにすれば、高い確率で防錆が可能です。ただし、この方法ではかなりのコストがかかるうえ、機械の性質によっては適当ではない場合もあります。そこで考えられるのがコーティングによってさびを防ぐ方法です。
コーティングにはいくつかの方法があります。プラスティックやゴムなどの有機材料でコーティングする方法、塗装によってコーティングする方法、クロム、亜鉛、金など耐食性の高い金属でメッキする方法などがおすすめです。
火災後に錆びつきを抑えるためにやるべき予防策
- ふき取りと洗浄
機械類に付着している塩化物イオンや塩酸を乾いた布やタオルなどでふき取ります。また、塩酸が付着したものに直接触れるのは危険なため、その際はしっかりと洗い流した後にふき取るとよいでしょう。 - 除湿・乾燥
錆びつきやすい機械類が一か所に固まっている際に効果的な方法です。酸化を進めてしまう水分を除湿・乾燥によって取り除きます。ふき取り、洗浄といった手間がかからないのがメリットです。 - 専門業者に予防策を依頼する
錆びつきを抑えるには、とにかく早い段階での対策が欠かせません。また、機械の種類や素材、用途により正しい対策を行わないと錆びつきを抑えられない可能性が高くなります。そこで、火災後、すぐに専門家に復旧対策を依頼するのがおすすめです。
火災時の迅速な復旧対策について詳しくは、『企業や工場での火災被害からの復旧遅延リスクを軽減する対策とは?』をご覧ください。
機械類の錆びつきを予防するには錆びついてしまう理由の把握が重要
火災が発生した際には、どうしても焼失したものや水浸しになったものに目がいってしまいがちです。しかし、そこで静かに進行する塩化物イオン汚染や発生した塩酸に気づかないとさらに大きな被害につながってしまうでしょう。
これを防ぐには、火災後の被害のひとつとして、機械類の錆びつきがあることの把握が欠かせません。機械類の錆びつきがあるとわかっていれば、事前に予防対策が取れますし、火災後にもすぐに対応が可能です。今回紹介したような対策を行っていれば、錆びつきリスクを最小限に抑えられます。
また、最善策としては専門家への依頼がおすすめです。多くの知識や実績がある専門家に依頼すれば、より高い確率で錆びつきを防ぐことができ、被害を最小限に抑えられます。
べルフォアジャパンでは、クイックテストという独自のキットを用い、目視では確認できないものも含めた塩素物イオン汚染の有無や範囲、程度を調査し、被災箇所を汚染マップとして示します。その汚染マップとともに報告書を作成し、適切な復旧方法をご提案します。また、被害拡大防止策である「緊急安定化処置」を行うことも可能です。万が一の時は、ぜひご相談ください。
災害復旧サービス 現地調査|ベルフォアジャパン
災害復旧サービス 緊急安定化処置|ベルフォアジャパン
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