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水害に使える保険の種類、補償内容、選ぶ際に気をつけたいポイントを解説

豪雨や台風による水害(水災)が、毎年のように日本列島を襲っています。被害を受けた企業が操業停止に追い込まれるケースも起きており、こうしたリスクに対する備えとして保険への加入は必要不可欠です。そこで、水害(水災)に対応する保険の種類、補償される範囲、選ぶ際に確認しておきたいポイントを、水害(水災)を取り巻く近年の情勢とともに紹介します。

水害(水災)とは何か

水害(水災)とは、自然現象により陸地が浸水することで起きる被害のことです。

水害(水災)の原因となる自然現象

最初に、水害(水災)を引き起こす自然現象を、近年の事例とともに紹介します。

  • 台風:「平成30年台風21号」(2018年9月)では保険金の支払額が1兆678億円と、東日本大震災(約1兆3千億円)に迫る被害規模に
  • 豪雨:「平成30年7月豪雨」(2018年6〜7月)では、西日本に広範囲かつ同時多発的な被害が発生。「令和2年7月豪雨」(2020年7月)では、国が管理する8河川・都道府県が管理する194河川で浸水被害が発生
  • 地震:東日本大震災では、東北から関東の広範囲で津波被害、津波の高さは国内観測史上最大の40.5mを記録し、海岸線から5km内陸まで浸水した地域も

特に台風と豪雨については、地球規模で進んでいる気候変動の影響もあり「極端現象」と呼ばれる大型化が目立っています。

→台風対策の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→豪雨対策の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

水害(水災)の種類

同様に、自然現象の結果発生する水害(水災)の種類を、近年の事例とともに紹介します。

  • 洪水:河川の水位が上昇し堤防から水があふれ出る「外水氾濫」と、下水道や排水路で処理しきれない水があふれ出る「内水氾濫」がある。近年は都市部での内水氾濫が目立っており、「令和元年台風19号」(2019年10月)では神奈川県川崎市でタワーマンションが被災
  • 土砂災害:「令和元年台風19号」では821件の土砂災害が発生
  • 高潮:「平成30年台風21号」では大阪湾に高潮が発生し、関西国際空港が機能停止。東京都は「高潮浸水想定区域図」を作成し警戒している
  • 津波:東日本大震災では、国内観測史上最大となる高さ40.5mが観測され、岩手、宮城、福島県を中心とした太平洋沿岸部に被害をもたらした

さらに近い将来、東日本大震災を上回る規模といわれる南海トラフ巨大地震も危惧されており、引き続き津波への警戒が必要です。

→水害(水災)の原因・種類の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

企業が受ける被害

企業が水害(水災)で受ける最も大きな被害が「浸水」で、具体的には以下のようなリスクが考えられます。

  • 建物の破損
  • 設備の汚損
  • 衛生面の被害
  • データの破損
  • 製品の損失

これらの被害については、国土交通省が公表している「ハザードマップ」や「浸水ナビ」を活用し、事前に対策を打つことができます。さらに早期復旧のために、被災後の事後対策を考えておくことも重要です。

→水害(水災)で起こるさまざまな被害の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

→衛生面の被害のひとつである「におい」の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

水害(水災)に備える為の保険

水害(水災)に対応する保険の種類

「水害(水災)保険」というカテゴリーは存在せず、「火災保険」によってカバーされるケースが一般的です。ただし、契約方式によっては水害(水災)に対する補償が対象外となっていたり、損害保険金の額を実際の損害額より縮小してお支払いするケースもあるので、ご自身の保険を十分に確認しておきましょう。

火災保険で補償される水害(水災)の種類

火災保険で保証される水害(水災)の種類は、以下の4つです。

  • 台風、暴風雨、豪雨等による水害(水災)
  • 雪解け水による水害(水災)
  • 高潮による水害(水災)
  • 土砂崩れ、落石等による水害(水災)

ここで注意が必要なのが、地震を原因とする津波が通常は含まれていないことです。津波は一般的には火災保険では補償されないので、別途「地震保険」に加入したり、特約に加入したりする必要があります。

保険の契約期間も、1〜5年程度と商品によってさまざまです。短期間で契約内容をこまめに見直したい場合には、契約期間も確認しておきましょう。

保険で補償される範囲

一般的な火災保険で補償されるのは、建物の修理、建て替えや破損した設備の修理、再調達といった物的な被害です。見逃されがちなポイントですが、被災によって操業が停止している間の「事業中断リスク」は通常は補償されず、別途オプションで加入する必要があります。

中小企業に重要な「事業中断リスク」とは

事業中断リスクとは何でしょうか。具体的には、以下の3つを考えておく必要があります。

  1. 運転資金が足りなくなることで、人件費を払えず従業員が辞めていく
  2. 操業の停止が長引くことで、取引先や顧客が離れていく
  3. 運転資金確保のため新たなキャッシュを借り入れることで、負債が増加する

いずれのリスクも企業の存亡に関わる深刻なもので、特に運転資金が限られている中小企業の場合は倒産という最悪のケースも考えられます。

災害復旧会社を利用できる保険商品も

そこで近年は、中小企業向けにこれらのリスクを補償するタイプの保険商品も出ています人件費の支払い、仮店舗の手配、自社の生産設備を使えない場合の外部への生産委託といった、さまざまな事業中断リスクに対応します。

そうした商品は、幅広い事業中断リスクをまとめて補償してくれるので、リスクごとにバラバラの保険商品に加入する必要がありません。契約手続きも1回ですむので、事務的な負担も軽減できます。

災害復旧専門会社を利用できる保険商品もあります。災害復旧専門会社は、浸水した設備の修復等を専門に行うノウハウを持ったプロフェッショナル集団です。その利用により、罹災から復旧までの時間を大幅に短縮できる可能性が高まります。

できるだけ早く事業を再開させることが出来るよう、災害復旧専門会社を活用できる保険商品を検討しておくとよいでしょう。

保険選びから水害(水災)対策の強化を

保険の必要性を認識していても、具体的な商品選びで戸惑うことも多いかもしれません。種類が多すぎて、何を選んでよいか分からないケースも少なくないでしょう。こうした場合には、まずは自社が水害(水災)によってどのような被害を受ける恐れがあるのかを把握することが先決と言えます。それらが明らかになれば、必要な補償内容も見えてくるからです。

中小企業庁の調査では、以下のような興味深い結果が出ています。

  • 保険に加入していない理由の1位「被災時にどの程度の金銭的被害が発生するかイメージできない」
  • 保険に加入したものの役立たなかった理由の1位「被災した災害は補償の対象外であった」

保険はリスク対策として有効な手段ですが、いずれも事前にリサーチを行うことで解消できる上記のような状況は、できる限り回避しておきたいものです。

保険商品を選ぶことは、水害(水災)によって自社が受ける被害の「見える化」につながります。自社の水害(水災)対策の一環として、保険について考えてみてはいかがでしょうか。

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