火災
- 企業や工場が火災になったら?被害を最小限に抑える対策を解説
- 企業や工場で行っておくべき火災対策のポイントを解説
- マンションや工場火災時に発生する煙のリスクと早期復旧の重要性
- 企業や工場での火災被害からの復旧遅延リスクを軽減する対策とは?
- 工場火災の原因から対策方法から、起きてしまったあとの復旧方法までを解説
- 火事被害のひとつ、「臭い」による影響と臭い取りの方法を解説
- マンション火災の原因から復旧方法まで、管理組合が取るべき対策を解説
- 火災時や火災後に考えられる健康被害とは?最小限に抑えるための対策を解説
- 飲食店火災の原因から対応方法まで、押さえておきたいポイントを解説
- 火災後に機械類が錆びついてしまう原因と予防方法を解説
- 初期消火とは? 工場やオフィス火災の被害を最小限に抑えるためのポイントを解説
- 電気火災とは? その原因や種類から予防のポイントまでを解説
工場やオフィスで火災を発見した際、その被害を最小限に抑えるためにやるべきことは、「通報」「初期消火」の2点です。もちろん状況にもよりますが、すぐに避難するのではなく、この2点を確実に行えば火災被害はかなりの確率で小さく抑えられます。そこで今回は、火災が起きた際に社員がやるべき行動の1つ、「初期消火」について、その方法や注意点をお伝えします。
工場やオフィスで火災発生、その時に社員がやるべき初期消火とは?
火災での初期とは一般的に火が天井に到達するまでの間を言いますが、一般的な家庭では1~2分で天井まで火が到達します。この間に行う消火活動が、「初期消火」です。
工場やオフィスの場合、一般家庭よりも天井までが高いケースが多いため、火が到達するまでの時間も3~5分間と、若干長くなっています。ただし、工場の場合は燃えるものによっては爆発の危険もあるため、状況に応じて少しでも早く行動を起こすことが重要です。
なお、初期消火を行う前段階で必ずやるべきは、「通報」です。具体的には「大声で周囲に火災が発生していることを知らせる」「消防署に通報する」。この2つをすぐに行います。特に消防署へはどれほど小さな火災であっても通報しなくてはなりません。消防法第二十四条でも、遅滞なく迅速に通報しなければならないと定められているため、落ち着いて通報を行いましょう。
ちなみに初期消火を行ううえで知っておくべきは避難するための目安です。基本的には火が壁や天井に燃え広がっていない間であれば可能ですが、少しでも壁や天井に火が燃え移ったら初期消火は止めてすぐに避難してください。
初期消火の具体的な方法
初期消火の重要性を理解したところで、具体的な初期消火の方法について説明します。
「通報」と「初期消火」は同時に行う
前項でも説明したように初期消火の限界点は火災発生から3~5分間。そのため、周囲へ知らせてから消防署に通報していると、あっという間にその時間が過ぎてしまいます。そこで、平時から火災が発生した際の役割分担を決めておくことが重要です。
- 火災の第一発見者が周囲に知らせそのまま初期消火に入る
- 知らせを受けた人はすぐに消防署へ通報する
このように決めておけば、迅速に初期消火を行いつつ、消防署へも素早く通報できます。
消火器を使って消火を行う
初期消火の方法として一番良いのは消火器を使用しての消火です。近くに水道があると、つい水のほうが早く消火できるのではと思いがちですが、水は燃えるものによっては逆に燃え上がってしまう場合もあるため避けた方がよいでしょう。
- 油や特殊な薬品などからの火災の場合
工場で化学薬品や特殊な燃料などが燃えている、オフィスでも食堂で油を使っている場合などは、必ず備え付けの消火器を使いましょう。どうしても消火器が見当たらない場合は、水ではなく濡れタオルや濡らしたブランケットなどで火を覆い、空気を遮断して消火させます。まだ大きく燃え広がっていなければ水を直接かけるよりも高い確率で消火が可能です。 - 喫煙所からの火災、電気系統・設備からの火災の場合
喫煙スペースから火災が発生した場合は、消火器を使用する以外に水をかけても問題ありません。また、電気系統や設備から火災が発生した場合も消火器がなければ水で初期消火を行っても大丈夫です。 - カーテンが燃えている場合
カーテンに火が燃え移った際、そのまま放置すれば一瞬で天井にまで火が広がり、初期消火もできません。もし、カーテンが燃え出したら、すぐに引きちぎって消火器もしくは濡れタオルなどで消火します。 - 工場や倉庫で大量の段ボールが燃えている場合
工場や倉庫で大量の段ボールや厚紙などが燃えている場合、ほかと比べて延焼が速く天井まですぐに広がります。そうなれば消火器だけでは消火が難しいため、屋内・屋外消火栓設備を使って消火を行います。
初期消火を行う際の注意点
知識があったとしても、いざ火災が発生するとなかなか思ったような行動を取るのは簡単ではありません。そこで、初期消火を行う際、どのような点に注意すればよいのか、そのポイントを説明します。
- 平時に初期消火訓練を徹底する
初期消火を落ち着いて正しい手順で進めるうえで欠かせないのは、初期消火訓練です。消火器のある場所の確認、火災発生時の役割分担などを行ったうえで、実際に火災が発生した時を想定し、消火器の使い方や発見、報告、消火活動など初期消火の訓練を行います。特に工場や倉庫での火災では、屋内・屋外消火栓設備を使えないと初期消火も難しいため、誰が発見者となってもすぐに使えるように訓練をしておきましょう。
→ 火災対策について詳しくは、『企業や工場で行っておくべき火災対策のポイントを解説』をご覧ください - 初期消火で鎮火できても安心しない
初期消火で鎮火できたと思っても、ほんの少しの火種があれば、また大きな火災につながる可能性があります。完全に消えたと思っても安心していると逃げ遅れてしまう危険も生まれます。可能であれば最終的に火種を残さず完全に鎮火させましょう。 - 電気系統・設備からの火災はブレーカーを落としてから初期消火を
電気系統・設備からの火災は、水を使っても問題ありませんが、配電盤に直接水がかかるとショートする危険があります。そのため、慌てずに必ずプラグを抜く、もしくはブレーカーを落としてから初期消火を行いましょう。 - 深追いしない
初期消火に集中し過ぎて、天井にまで延焼していることに気づかないと非常に危険です。周囲で声かけをするといった方法で、少しでも危険だと感じたらすぐに避難します。また、そのための避難経路も訓練時に確認しておきましょう。場合によっては煙による健康被害の恐れもあるため、避難を最優先することが重要です。
→ 火災時の健康被害について詳しくは、『火災時や火災後に考えられる健康被害とは?最小限に抑えるための対策を解説』をご覧ください。
火災対策と同様に初期消火のための訓練も忘れずに
初期消火は時間との勝負です。ただし、完全に鎮火させるのが目的ではなく、消防車が来るまでに少しでも延焼を抑え、被害を最小限のとどめるのが目的です。場所や原因にもよりますが、火は一瞬で燃え広がる可能性もあるため、常にすぐ避難できるようにしたうえで、消火活動を行うようにしなければなりません。
そして、火災が発生した際、落ち着いて初期消火をするためには平時の訓練が必須です。火災対策というと、火災を起こさないため、もしくは発生時の避難方法にばかり注意しがちですが、初期消火のための訓練も怠らないようにしましょう。
また、火災が発生した場合、鎮火と同様に欠かせないのが復旧対策です。一日でも早く工場やオフィスで以前と同様に業務が行えるようにするためには、迅速な復旧が欠かせません。ベルフォアジャパンでは、専門家による豊富な経験と知識で迅速な復旧を実現します。火災が起きた際の復旧に困ったら、すぐにご相談ください。
被災時にも中核事業を継続するためのBCPについては、こちらの記事もご参照ください。『BCP対策とは?企業防災との関係から策定方法、早期復旧のフローまで』
ご質問・ご相談は、こちらのお問い合わせフォームよりお送りください。