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火災時や火災後に考えられる健康被害とは?最小限に抑えるための対策を解説

ひとたび起きてしまうと、さまざまな被害を巻き起こす火災。建物が焼失してしまうのも被害ではありますが、忘れてはならないのが健康被害です。火災時はもちろん、火災後にもリスクは残ります。そこで重要なのが、火災時や火災後に健康被害をもたらす原因がどこにあるのかを知り、被害を最小限に抑える対策です。今回は、火災時や火災後における健康被害にはどのようなものがあるのか、そして健康被害を抑えるための対策やポイントについてお伝えします。

火災時に考えられる健康被害とは?

火災が発生した時点で最も危険なのは火による健康被害です。建物内部が火によって一気に高温になるため、火傷のリスクが高まります。消防庁が毎年発表している、「令和元年版 消防白書 」によると、平成30年中に起こった建物火災による死亡者の35.7%が「火傷」によるものです。

また、燃焼初期でも密閉された、もしくは密閉に近い空間では、一酸化炭素中毒にも注意しなければなりません。密閉された空間では不完全燃焼が起きやすく、発生した一酸化炭素を吸ってしまうとヘモグロビンによる血液中の酸素運搬が阻害されるため、場合によっては命にかかわる状態に陥ってしまうでしょう。

実際、前出の「令和元年版 消防白書」において火災による死因で最も多いのは、火傷ではなく「一酸化炭素中毒・窒息(37.6%)」です。このことからも火だけではなく、煙や一酸化炭素にも注意すべきなのが分かります。

ほかにも、火災発生時の高温の煙や水蒸気をはじめ、塩化水素・臭化水素・シアン化水素・二酸化硫黄などの有毒ガスの吸引で起こる「気道熱傷」にも要注意です。吸引直後はそれほどひどい症状にはなりませんが、時間がたつにつれ悪化し、最悪の場合は窒息による呼吸停止の恐れもあります。

火災後に考えられる健康被害とは?

火災による健康被害には、鎮火後も十分な注意が必要です。目に見えて分かりやすい危険がない分、火災後の方が健康被害を見逃す可能性も高くなります。主な健康被害は次のとおりです。

すすによる健康被害

火災時は煙とともにすすが発生し、建物内や外部に付着。さらに水と混ざった際には塩化物イオンも発生します。これが機械・設備の腐食原因となるうえ、有害物質が含まれていれば健康被害を引き起こしてしまうのです。また、すすは放置すると臭いが残り、それによって頭痛、めまい、吐き気といった症状を引き起こす危険もあります。

ダイオキシンによる健康被害

毒性が強い化合物の一種であるダイオキシンは、火災時に発生する場合もあれば、火災後に発生する場合もあります。そのため、火災の復旧作業が遅れれば長期間にわたり健康被害を及ぼすリスクがあるでしょう。

ダイオキシンによって引き起こされる主な健康被害としては、免疫システムやホルモンへの障害、発がんなどが挙げられます。

アスベストによる健康被害

ダイオキシン以外で健康被害を及ぼす有害物質といえば、アスベストが挙げられます。繊維状けい酸塩鉱物で石綿(いしわた)とも呼ばれるアスベストは、耐熱性・防火性・保湿性・防音性などに優れているとして、2006年9月以前まで多くの建物で使われていました。そのため、2006年9月以前に建てられた建物で火災が起きると、アスベストが飛散しさまざまな健康被害をもたらす可能性があります。具体的には次のとおりです。

  • 肺がん
    肺細胞に取り込まれた石綿繊維が体内で物理的な刺激を与えることによって、肺がんが発生するとされています。必ずしもアスベストが要因なのかは解明されていませんが、アスベストへのばく露量が多いほど、肺がんになるリスクが高まるという調査結果が出ています。
  • 悪性中皮腫
    肺を囲む胸膜、肝臓や胃といった臓器を囲む腹膜、そして心臓や大血管の起始部を覆う心膜などにできる悪性の腫瘍が悪性中皮腫です。年齢が若いほど罹患するリスクが高いといわれています。

肺がんは15~40年、悪性中皮腫は20~50年の潜伏期間があるといわれているため、火災後にすぐ発症しないから安心ということはありません。古い建物火災で大量に煙やすすを吸ってしまった際は、必ず定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

火災時、火災後の健康被害を抑えるための対策

火災時や火災後、それぞれにさまざまな健康被害の危険がありますが、これらの危険を回避するにはどのような対策が必要なのでしょうか?

火災時の健康被害を抑えるための対策

  • 火災発生時に備えたルールの策定
    火災が発生してから慌てて行動を起こすのでは、かえって被害を拡大させてしまうリスクがあります。健康被害を最小限に抑えるためには、平常時に火災発生に備えたルールの策定が必須です。
  • 火災訓練の実施
    火災発生に備えたルールの策定と同時に、定期的な火災訓練の実施も欠かせません。紙に書いたルールだけでは、火災が起きたとき迅速に行動できるとは限りません。また、避難経路が狭い、荷物が多いなど、訓練を行って初めて気づくことも多く、そうしたリスクを排除するためにも定期的な避難訓練を実施しましょう。

火災後の健康被害を抑えるための対策

火災後の健康被害を抑えるための対策として最も重要なポイントは、自分たちだけで解決しようとしないことです。一刻も早く建物の被害を復旧し、健康被害を抑えるには、外部の専門家に依頼するのが最適な方法と言えるでしょう。

火災による健康被害を抑えるには事前に対策を立てておくことが重要

火災による健康被害は、「火」によるものと「煙」によるものの大きく2つに分けられます。どちらも危険であることには変わりありませんが、火災後も長く残る煙による被害にも、火によるものと同様に注意しなければなりません。前出の「令和元年版 消防白書」を見ても煙から発生する有毒ガスは火傷以上に死亡の確率も高いため、十分な注意が必要です。

鎮火後も、すす汚染の影響による臭いと健康被害は長期にわたる可能性があります。そのため、専門業者による迅速な復旧が重要です。

ベルフォアジャパンでは火災後、健康被害をもたらすリスクが高いすす、有害物質などを短期間で汚染除去するサービスを提供しています。万が一の際にはすぐにご相談ください。

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